インテージは、インターネットの普及により多様な情報が入手可能な昨今の「クルマ購入者のオンライン情報収集」について、独自のメディア接触ログデータであるi-SSP®(インテージシングルソースパネル®)から調査し、2019年3月6日にその結果を発表した。

それによると、新車購入前半年間の関連サイトアクセス総数は、半分超は「メーカーサイト」で、「車情報サイト」は3割に満たないことがわかったという。

新車購入までの6カ月間に半分強が「メーカーサイト」にアクセス

まず、新車を購入した人が、購入までの6カ月間に、どのようなタイプの車関連サイトをより多く見たのか、接触量(PV数)の内訳を探ってみた。その結果、車関連サイトへの総アクセスの半分以上を占めているのは「メーカーサイト」だった。

一方、新着情報やレビューなどが確認できる「車情報サイト」は25%にとどまり、新車購入者においては「メーカーサイト」がオンライン情報源の中心として活用されている様子がわかったという。

このほか、「自動車保険サイト」、「中古車情報サイト」がそれぞれ1割前後を占めている。新車購入者の中には購入前の半年間に、中古車も視野に入れて情報収集している人がいることがわかるという。

次に、各タイプの車関連サイトはいつごろからアクセスされるのだろうか。新車購入の半年前以降の接触量(PV数)を時系列であらわしたものが上のグラフである。

これをみると、やはり「メーカーサイト」への接触量の多さが目立ち、常にどのタイプのサイトよりも多く接触していることがわかる。特に購入の3カ月前あたりから接触量が増加し始めることがわかる。

一方で「車情報サイト」については購入直前の1カ月前からようやく接触が増加し始め、購入当月に大きく伸びている。

このことから、インテージでは、新車購入者は「メーカーサイト」を軸として3カ月程度検討を行い、ある程度具体的な車種が決まった段階で「車情報サイト」にアクセスし、目当ての車種に関する第三者による情報や試乗レビューについて情報収集しているものと推察している。

また、さきほど触れた新車購入者の「中古車情報サイト」への接触だが、購入の1―2カ月前には「中古車情報サイト」への接触量の増加が見てとれるという。

新車購入者の一部では、直前まで中古車購入も候補に挙がっているようだとしている。

購入者の検討行動の変化に柔軟な対応が競合との差別化のカギを握る

続いて、オンライン情報収集の柱であるメーカーサイトに焦点を絞り、メーカーごとにどのような接触傾向の違いがあるのかを見てみた。

上のグラフは新車購入者によるメーカー各社のサイトへの接触量(PV数)の推移を表している。これをみると、各社とも購入当月にかけて接触量の増加が見られているが、もっとも順調に接触量を伸ばしているのがA社のサイトだ。

実際に各社メーカーサイトを見ると、いずれのサイトにおいても購入検討者向けのサポートページがあり、販売店の検索や試乗車検索が可能である点は同じだが、A社のメーカーサイトでは現在乗っている車の下取り参考価格の検索ができたり、見積もりシミュレーションでオプションを人気順で選ぶことができたりと、メーカーサイト内だけで車の買い替えに必要な情報が網羅されていた。

インテージでは、こうした購入者の検討プロセスを考慮したサイト作りが購入直前のサイト接触量を高め、最終的には検討者の囲い込みにも寄与しているという。

そして、上のグラフは、車購入者の購入前6カ月間におけるYouTubeの平均利用時間の推移である。

これをみると、車以外の動画も含めての利用時間のため、検討開始時期の前から一定の利用量はあるが、購入月に向けて利用時間が増えていることがわかる。

YouTube内での検索ワードを見てみると、「インプレッサスポーツ」、「スズキ ハスラーG 4WD」など、具体的な車種名で検索をしていて、車購入の検討材料としてYouTubeを利用していたことがうかがえるという。

最近では一般ユーザーによるYouTubeに試乗のレビュー動画が多く上げられていて、来店前に検討車の内装や実際の性能などを確認することができるようになっている。

最後に、インテージでは、オンライン上のさまざまな発信者から多様な情報が発信されている昨今、生活者にとっては入手できる情報の幅が格段に広がり便利になった一方、売り手にとっては、購入者の検討行動の変化を捉えて柔軟に対応していくことはこれまで以上に難しくもあり、同時に、競合との差別化を図る上でのカギを握っているともいえると総括している。

<参照元>
「車の情報はどうやって調べる? 行動ログデータから見えたデジタル時代の情報収集」 インテージ

img:インテージ