ソフトブレーン・サービスは2018年12月6日、新車販売の商談における営業接客の一部をソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」が代行するプログラムの実証実験を実施したと発表した。

今回ソフトブレーン・サービスが開発した新車販売上のヒアリング項目を聞き出すプログラムを搭載したPepperを佐賀ダイハツ販売兵庫店にて9月8日から9月24日まで設置し営業代行を行った。

その結果、期間中の新車販売商談時の試乗率が導入前同数日比で1.89倍、成約率については2.75倍に向上したという。

また、導入前後の他店舗比でも試乗率が34%増、成約率は131%増まで向上。

さらに営業接客で、人間相手では答え難かった質問事項も、Pepperで簡単に聞き出すことに成功したとのことだ。

最新の心理学・脳科学を駆使したアプリケーションプログラムを実装

今回のプログラムのベースにはソフトバンクロボティクスの「Pepper for Biz お仕事かんたん生成2.0」を活用した。

そしてソフトブレーン・サービスが自動車業界だけでなく、他の店舗営業や訪問営業も含むのべ6,700社以上の営業コンサルティング経験を活かし、最新の心理学・脳科学を駆使したアプリケーションプログラムを開発し、実装した。

併せて、営業研修プログラムを開発し、事前に営業スタッフに実施、ユーザーの購買傾向を統計分析したデータに基づき、今まで属人性が強く営業スタッフごとのバラツキが多かった来店直後のユーザーへのアプローチを再設計した。

商談時における顧客ニーズと提案車種の“ズレ”を無くす

実証実験では、最初にユーザーの車選びに関する「特別な判断基準」に関する質問を『Pepperのお客様心理テスト』と題してPepperの胸画面に表示し、3ステップの選択質問で「おクルマ選びのポイント」等を聞き出し、ユーザーのタイプを128通りに分類。

そこから営業の接客上の負荷を低減させるために、16種類のタイプにまで絞り込み、診断結果をレシートで表示印刷した。

こうして独自のアルゴリズムで導き出されたユーザーのタイプと連動し、裏ではさらにユーザーへのおススメのダイハツ車種が導き出されている。このレシートを営業スタッフが受け取りユーザーのタイプに合わせた商談に入るという流れで実施し、着座後にはユーザーのタイプとおススメ車種を営業スタッフが把握した上でその人に合わせたセールストークを展開。商談時における顧客ニーズと提案車種の“ズレ”を無くすことで、ユーザーの興味関心を向上させた。

さらにプレゼンテーションではユーザーにとって大切にしている「特別な判断基準」に沿った切り口で提案車種を紹介することでフィット感を高め、営業スタッフが自信を持っておススメすることに繋がり、上手に試乗誘導~購入決断を促すことが可能になったとしている。

営業スタッフと顧客の信頼関係が大きく向上

実際にユーザーへのアンケートの結果では、「本日の営業担当者の接客・提案はいかがでしたか」との質問回答で、導入前は「とても良かった」が52.0%だったのに対し、導入後は81.2%と29.2ポイントも上昇したという。

営業スタッフへのアンケートにおいても、「自信を持ってお客様にあった車種提案ができているか」との質問において「出来ている」が導入前は50.0%だったのに対し62.5%と12.5ポイント改善したとしている。

以上の結果から、ユーザーはもちろん営業スタッフに対しても今回の実証実験の高い効果性が確認でき、両社では信頼関係の構築に大きな影響を与えることができたとしている。

img:@Press