人口14億人と世界全体の20%の人口を抱える中国だが、農耕地は世界全体の7%しか有していない。

また毎年、都市化、汚染、自然災害などで農耕地の面積は減少している。

中国自然資源部(省)の発表によると、2017年同国の農耕地面積は前年比6万ヘクタール減少し、1億3,486万ヘクタールとなったことが分かった。4年連続の減少という。6万ヘクタールは東京23区の面積とほぼ同じだ。

さらに都市部への移住が増え農業人口が減少。農家の担い手が不足するという問題も抱えている。2005年中国における農業人口は労働力全体の45%を占めていたが、現在は28%まで低下したといわれている。

一方、中国全体の所得水準の向上にともない食生活が変化しており、家畜を育てるための穀物への需要圧力が高まっている。

中国政府は、これらの問題に対応しつつ、農業生産性を高める手段としてドローンに大きな期待を寄せている。

湖南省や河南省では、2014年から農家へのドローン導入を促進するために補助金政策を導入。2015年頃から他の省でも同様の取り組みが開始された。2016年には江西省で、農業ドローンを購入する農家にドローン価格の50%を補助するスキームを開始。

深セン無人航空機協会の副会長が中国メディアのカイシンに語ったところによると、農薬散布ドローンの数は2014年の500台から2016年には8,000台に増えたという。2017年には1万5,000台を超えると予想している。

直近では2018年8月、湖北省が1,000万元(約1億6,000万円)の予算で農家のドローン購入を補助する施策を開始することを発表。湖北省では、農業生産性の向上を目指し、農業の機械化を進めている。ドローンを除く農業機械は現在までに70万台以上が導入されてきたが、ドローンは1,000台ほどにとどまっており、補助金で導入を後押しする狙いがある。

中国のマーケティング会社Guangzhen Hengshengによると、中国では農薬散布を年に3〜5回実施、1エーカー(0.4ヘクタール)あたりのコストは60〜120元になり、全体では600億元(約9,700億円)規模の市場になると推測している。

政府による補助金政策を通じて農業分野におけるドローン需要が高まるなか、ドローンメーカー各社は農業ドローンの開発に力を入れている。

世界最大のドローンメーカー、深センのDJIはもともと消費者向けの空撮ドローンを中心に開発を行ってきたが、農業分野の市場ポテンシャルに目をつけ、2015年に農薬散布ドローン「Agras MG-1」をローンチ。 また、米化学大手ダウデュポンと提携し、農薬市場における影響力の増大を狙っている。


DJIの農業ドローン「Agras MG-1」(筆者撮影)

農業ドローンを専門とする広州のXAircraftは2017年10月に4つの新しい農業ドローンを一挙に公開。同社は29省に拠点を構え、従業員は1,400人を超える大企業だ。

同社の創業者でCEOを務めるペン・ビン氏がサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙に語ったところによると、同社の売上高は2016年に4,700万元(約7億6,000万円)だった。2017年には3億元(約49億円)に拡大すると予想している。

XAircraftは、日本、オーストラリア、米国などに進出、農業ドローンの世界市場でも攻勢を強めている。また同社はこのほどアリババなどと提携し、テクノロジーを駆使した「未来農場」を展開することを発表。ドローンの新たな可能性を探るようだ。

補助金を通じて農業ドローンの普及が進む中国。XAircraftの未来農場のような新たな取り組みもあり、今後中国がどのような農業の未来を示すのか、これからの展開に大きな期待が寄せられている。