企業が、スマートスピーカーを利用するための、拡張機能の開発に乗りだしている。

音声操作に対応し、AIアシスタント機能を利用できるスマートスピーカー。Google Home(グーグルホーム)、Amazon Echo(アマゾンエコー)など、IT各社から発売され、日本でも購入する人が増えてきた。

家庭で使う場合は、音声操作によって音楽を聴いたり、家電をコントロールしたりといった機能が使える。他にも、個人や企業などのサードパーティが開発したアプリによって、拡張機能を使うことも可能だ。

BtoC企業は、スマートスピーカーの拡張機能を開発することで、ユーザーへの情報配信や注文の受付などができる。今回紹介するのは、Google Home向け拡張機能の開発を支援するサービスだ。

Google Homeを用いた企画へ、技術支援

2018年10月11日、恵比寿ボイスプロダクションは、Google Homeを専門にあつかう技術支援業務の開始を発表した。

恵比寿ボイスプロダクションは、これまでに70以上の拡張機能を開発してきた企業だ。この知見をもとに、新たにGoogle Homeを用いた企画を検討する企業へ、技術支援を行う。

Google Homeでは、他社が独自の拡張機能を開発するための仕組みとして、「Actions on Google」が用意されている。

恵比寿ボイスプロダクションでは、開発コンサルティングとして、Actions on Googleの仕組みに沿ったアプリの開発技術支援を行う。企画・開発・公開、必要に応じてプロトタイピング開発もサポートする。

Google Homeを用いた企画としては、ユーザーが「◯◯社のおすすめの製品を教えて」と話しかけたら、「おすすめの製品は△△です」のような回答ができるといった、ユーザーへの新しいアプローチが考えられる。

他にも、動画に見られるようなGoogle Homeを使った、音声操作による“ショップの営業案内”も可能だ。


「Ok Google, オリジナルペットのサポートにつないで」紹介動画

同社では、FAQアプリ作成サービス「RINDO」の提供も行っている。複雑なプログラミングを必要とせず、会話のパターンを記述することでアプリを作成・公開できる。

想定する対話を、質問と回答のパターンであらかじめ記述することで、アプリの動作を定義する、というのが主な作業だ。

サードパーティが拡張機能を開発するための仕組みは、Amazon Echoに搭載されるAIアシスタント「Alexa(アレクサ)」にも存在する。

Amazon Alexaにおける拡張機能、Skillの開発環境

音声サービスAlexaで使える拡張機能は、「Alexa Skills Kit(アレクサ・スキル・キット)」で開発できる。Amazonが提供する開発環境だ。Alexa向けの拡張機能はSkillと呼ばれている。

Alexa Skills Kitでは、開発に必要な一連のAPI・ツール・ドキュメント・コードサンプルなどが利用できる。

音声解析やビッグデータ解析を行うコンピュータを用意する必要もなく、すべてのコードはクラウド側で実行される。開発者は、音声対応を設計し、「Alexa Skills Kit」の利用法を学ぶだけだ。

音声対応の設計には、ユーザ・システムペルソナ、音声対話スクリプト、ユーザビリティテストといった、音声UI/UXが必要となる。

こうした、スマートスピーカーなどにおける音声対応の設計は、「VUIデザイン」、Voice User Interface(声というユーザーインターフェース)のデザインと呼ばれる。

Google Home同様、企業による技術支援の動きもある。

2017年11月には、TOKAIコミュニケーションズが、Alexa対応skillの開発に向けた、支援サービスを開始している。

TOKAIコミュニケーションズは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)における構築・運用ノウハウをもち、BtoC企業と共同で「情報配信」「予約」「注文」に関するAlexa対応のスキルの開発を行ってきた。

顧客向け音声サービスの実現による、ビジネス推進への貢献が目標だ。

企業とユーザーをつなぐ、スマートスピーカー

今回紹介した、スマートスピーカー向け拡張機能の開発支援は、企業による利用が想定されている。各家庭に普及し始めたスマートスピーカーを活用して、ビジネスを推進する動きが広がりそうだ。

音声サービスの開発においては、音声対応の設計が重要になる。GoogleやAmazonなどのプラットフォームでは、開発環境が用意され、技術支援のサービスもある。プログラミング以外の部分に集中できそうだ。

音声で操作できる新たなデバイスとして登場したスマートスピーカー。企業が、情報やサービスを提供するツールとして利用する動きが広がれば、より便利な生活を実現してくれるかもしれない。

img:PR TIMES , Amazon