自転車盗難や廃棄、さらには収益化困難による撤退など、さまざまなネガティブ報道がなされている中国のシェア自転車市場。このまま衰退するかのような印象を受けるが、実際のところはどうなのか。

人民日報によると、現時点で中国国内のシェア自転車サービス登録ユーザー数は約4億人で、1日あたりの利用回数はピーク時に7,000万回に達したという。また2017年の売上高は2,213億元(約3兆5,660億円)で、雇用総数は39万人。この2年間で立ち上がったシェア自転車企業は77社、供給された自転車数は2,300万台に上る。

iiMediaによると、シェア自転車市場は2017年に前年比で600%以上と爆発的な成長を見せた。一方、2018年の予測成長率は14.6%と前年に比べ大きく減少する見込みだ。飽和状態になりつつあるが、依然として成長軌道にあり、淘汰を繰り返しながら拡大する可能性を示唆している。

現在では、OfoとMobikeの2強といわれている。iiMediaによると、Ofoの1日あたりのアクティブユーザー数は730万人、Mobikeは620万人という。Tech in Asiaによると、Ofoの市場シェアは39.5%、Mobikeは28.8%。2社で70%近いシェアを占めていることになる。


Ofoのシェア自転車

一方独自の戦略で、この2強に挑む新興シェア自転車企業が登場し、市場関係者らの注目を集めている。

それが2016年9月に登場したHellobikeだ。2014年に設立されたOfo、2015年1月に設立されたMobikeに比べ後発となるHellobikeだが、小都市にフォーカスしたサービス展開やアリペイとの提携などが奏功し、2強に迫る勢いで拡大を続けている。


Hellobikeウェブサイト

OfoとMobikeが主戦場とするのは北京や上海などの大都市。しかしTrustdataによると、中国国内のシェア自転車ユーザーの72%は小都市に住んでいるとされる。Hellobikeはここに目をつけ、大都市での競合を避け、小都市に的を絞ったサービス展開を行っているのだ。

Hellobikeが2018年2月に公開したレポートでは、同年1月時点でHellobikeの登録ユーザー数は9,000万人に上り、1日あたりの利用回数は1,000万回を超えたと強調。5月のレポートでは、サービス展開する都市が220都市を超えたと述べている。

Hellobikeがここまで急速に展開できたのはなぜか。1つは小都市にフォーカスし、2強との直接的な競合を避けたことだ。一方、アリババ傘下のアント・フィナンシャル(Ant Financial)との提携やデポジットフリー施策の導入も重要な成功要因としてみられている。

アント・フィナンシャルは2018年5月、Hellobikeに20億元(約320億円)を投資し、筆頭株主になっている。これに先立つ2017年4月には、アント・フィナンシャルのモバイル支払いプラットフォーム「アリペイeウォレット」にHellobikeのサービスを組み込み、eウォレットを介してシェア自転車サービスを利用することを可能にしたのだ。6億5,000万人のユーザー基盤を持つアリペイと融合したことによって、Hellobikeの利用が促進されたと考えられる。ただし、アリペイを通じて利用できるシェア自転車サービスはHellobikeだけでなく、Ofoを含め他社サービスも含まれる。

また今年3月には、アント・フィナンシャルが運用している信用評価システム「芝麻信用(セサミ・クレジット)で650ポイント以上のユーザーを対象に、デポジットを不要とする施策を導入。一般的にシェア自転車サービスを利用する際、30〜50ドルに相当するデポジットの入金が慣例となっている。一方、サービス撤退時にデポジットを返金しないといったケースが報じられることが多く、ユーザーの多くはデポジットに良いイメージを持っていない。Hellobikeはユーザーの心配を取り除く形で、条件付きのデポジット廃止を実施し、新たなユーザーを獲得したとみられている。

この動きにMobikeも対応せざるを得ず、デポジットを条件なしで廃止。一方Ofoはデポジット廃止を試験的に実施していたが、最終的にデポジットは継続することで決定を下したと報じられている。

Hellobikeの台頭で2強から3強時代へと移行している中国のシェア自転車市場。Mobikeにはテンセントの資本が入り、Ofoにはアリババの資本が入っている。テンセントとアリババは、モバイルペイメントやEコマース分野で競合しており、シェア自転車市場は現在その競争の最前線になっていると見る関係者もいる。アリババ傘下のアント・フィナンシャルが投資をするHellobikeが勢いを増している事実を考慮すると、アリババが優勢のように見える。しかしどのような展開になるのかは未知数。今後も注視が必要だ。