Amazon Ecoシリーズは、ブームとなっているスマートスピーカーの先駆けとなった製品だ。本シリーズは円筒形スピーカー型の初代Echoをリリースした後、スマートホームハブを内蔵し、スマートホームのコントロールも可能な「Echo Plus」、コンパクトな廉価版「Echo Dot」とラインナップを充実させてきた。

そして最新の「Echo Spot」では、スマートスピーカーに液晶ディスプレイが搭載され、ユーザーに新しい体験を提供する。

スマートスピーカー「Amazon Echoシリーズ」の新ラインナップ、Amazon Echo Spotとは?

Amazonジャパン(以下、Amazon)は、2018年6月20日(水)にスマートスピーカー「Amazon Ecoシリーズ」の新ラインナップ「Amazon Echo Spot」の販売を開始した。価格は14,980円で、7月末から出荷を開始する予定だ。なおEcho Spot自体は、アメリカでは2017年11月にすでに発売されている。日本では、それから約7カ月遅れての販売開始となった。

Echo Spotは、他のEchoシリーズと同じくクラウドベースの人工知能(AI)音声認識サービス「Alexa」のアシスタント機能を利用できる。たとえば会話インターフェイスによる音楽再生や、ニュース、スケジュール・天気・交通情報の読み上げなどは、これまでのEchoシリーズ同様に提供される。

その上で、Echo Spotではコンパクトな本体に2.5インチの円形の液晶ディスプレイを新たに搭載し、ユーザーに新たな利便性を提供している。それまでのシリーズでは音声のみで取得してきた情報が、液晶ディスプレイ画面に表示して見せることができるようになったのだ。

たとえば天気予報を画面で確認できるため、音声案内の途中でも次の日の天気を確認できる他、グラフィックで天気の移り変わりを分かりやすく見て取れるようになっている。またAmazonのショッピングでは、商品画像やスター評価、価格(割引額を含む)をグラフィックでみてわかるようになったため、それまでのEchoシリーズと比較して格段に便利で楽しく使えるだろう。

その他、Echo Spotはカメラを搭載しており「アレクサ、写真を撮って」と話しかけると、このカメラで撮影してくれる。撮影した写真をプライムフォトへ保存が可能だ。

なおEcho Spotでは、Amazonの音楽サービス「プライムミュージック」が利用可能な一方、液晶ディスプレイがあるとものの、同社のビデオ・オンデマンドサービス「プライム・ビデオ」は現時点で利用できない。

新しいEcho Spotのコミュニケーション機能

Echo Spotでは液晶ディスプレイやフロントカメラを使い、音声操作によるメッセージ送受信や音声通話・ビデオ通話といったコミュニケーション機能が今後提供される予定だ。Echoデバイスや、Android・iOS搭載のスマートフォンにインストールしたAlexaアプリを用い、メッセージのやり取りや音声・ビデオでの通話、さらには呼びかけ機能も利用できるようになる。

  • ビデオ・音声通話
    Echo Spot間やEcho SpotとAlexaアプリの間で、ビデオや音声での通話が可能となる。たとえばハンズフリーで「Alexa、〇〇へ連絡して」といえば、その相手と簡単に通話できる。
  • メッセージ送受信
    Echoシリーズ・Alexaアプリ間でメッセージの送受信ができる。「Alexa、メッセージを送って」と語り掛ければ、ハンズフリーで対象のデバイスに対し任意のテキストメッセージの送信が可能だ。
  • 呼びかけ機能
    呼びかけ機能によってEcho Spotがある場所の様子を映像でみることができる。たとえば外出先でAlexaアプリを通じて、あるいはベットルームにある別のEcho Spotから、Echo Spotが設置してあるリビングルームの様子がみられる。

Amazon Echo Spotで利用できる拡張機能「Alexaスキル」

Alexaスキルとは簡単に言うと、Echoシリーズが利用できる追加の拡張機能のことだ。スマートフォンやタブレットでいうところのアプリと同様に考えればいいだろう。

国内のAlexaスキルストアでは、現時点で950超のスキルが用意されており、ユーザーに多様な体験を提供する。そして中には、Echo Spotの液晶ディスプレイを活かしたAlexaスキルも登場しており是非チェックして欲しい。ここでは、その中の7つを紹介する。

ハンズフリーで気軽にカラオケを楽しめる「カラオケJOYSOUND」

「カラオケJOYSOUND」は、通信カラオケ「JOYSOUND」を運営する株式会社エクシングが開発したAlexaスキルだ。音声操作によってハンズフリーでカラオケを楽しむことができる。リビングで家族と一緒にカラオケを楽しんだり、キッチンで料理をしながら歌をうたったりといろいろな使い方がありそうだ。

カラオケJOYSOUNDでは、Amazon Echoに「アレクサ、JOYSOUNDを開いて 」と話しかけるだけでカラオケを楽しむことができる。また特定の楽曲を指定するには、「アレクサ、JOYSOUNDを開いて 〇〇〇〇(楽曲名)」、特定のアーティストを指定するには「アレクサ、JOYSOUNDを開いて 〇〇〇〇(アーティスト名)」と話しかける。その他、楽曲やアーティストをえらばずに、ランダムでカラオケを再生することも可能。

Echo spotの液晶ディスプレイには、歌詞やカラオケ映像が映し出されるので、お店の本格的なカラオケのように楽しめるのがうれしい。また液晶ディスプレイから、楽曲を選択する機能も用意されている。

現在カラオケJOYSOUNDでは、人気曲を中心として約400曲が配信されている。配信中の楽曲を確認したいときには、たとえば「アレクサ、JOYSOUNDを開いて 収録楽曲を教えて」と話しかければよい。そうすると液晶ディスプレイに楽曲が表示される。その後、「次のリストも見ますか?」と聞かれるため、「はい」と答えると次のリストが表示される仕組みだ。

人気のレストラン検索サービス「食べログ」が、さらに便利に

株式会社カカクコムが運営する、人気のレストラン検索・予約サービス「食べログ」のAlexaスキルがEcho Spotに対応。音声でレストランを検索できる上に、検索結果やお店の情報(写真や評価)が液晶ディスプレイに表示される。レストラン情報は、液晶ディスプレイをタッチすることで詳細を見ることも可能だ。

「食べログ」のAlexaスキルでは、駅名と料理のジャンルから希望のお店を検索する。「行きたいお店の駅名かジャンルを教えて下さい」と聞かれるので、たとえば「恵比寿 ラーメン」と答えると、該当する高評価のお店を教えてくれる仕組みだ。検索されたお店の口コミも聞くことも可能。

また「アレクサ、食べログで今日のラッキーメニュー」とEcho Spotに話しかけると、その日のラッキーメニューを教えてくれる機能もある。さらにラッキーメニューをもとにレストランまで探してくれるというからおもしろい。

家にいながら京都を観光しているような気分を楽しめる「婦人画報の京都の音」

「婦人画報の京都の音」は、1905年創刊に創刊された日本で最も長い歴史をもつ女性ライフ誌「婦人画報」と、音声アプリケーションを専門に取り扱う株式会社WHITEが共同で企画・開発したAlexaスキルだ。

株式会社WHITEは、日本の市場にスマートスピーカーが登場する1年以上も前から、スマートスピーカーに関する事例のリサーチや音声アプリケーションの企画・開発を行ってきた。

このスキルには、長年にわたり京都を取材し京都の魅力に精通する婦人画報編集部厳選の観光名所9つで聞こえる美しい音色と映像が収録されている。たとえば嵯峨野の竹林で風がさざめく音やお茶屋での祇園小唄などを家で聞いて、ひととき京都の観光気分を楽しむことが可能だ。

「婦人画報の京都の音」では、具体的なリスト番号や曲名をEcho Spotに言うことでその音が再生される他、たとえば「アレクサ、竹林の音を流して」とコンテンツ名の一部のみでも反応する。またEcho Spotに「アレクサ、京都の音を開いて」と話しかけた上で、フリック操作や声で聞きたい音を指定することも可能だ。

その他、内蔵コンテンツをランダムで再生して、手軽に京都観光気分を楽しめる機能もある。

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