小売企業にとって、在庫をいかに管理するかは死活問題だ。失敗すると倒産につながることさえある。

小売企業が機会損失を減らし、売り上げを増やすためには、在庫を多く抱えておくことが必須だ。しかし在庫が増えるほど、売れない在庫も増えてしまう。また取扱商品が多いほど、在庫も加速度的に増えていき、その管理費用も増加することになる。

在庫をいかにコントロールするかは小売企業運営の本質ともいえる。しかし、経営者や担当者は、人力による在庫の分析やコントールに限界を感じているのが現実だ。

在庫削減クラウドサービス『FULL KAITEN』運営のハモンズが1億2000万円の資金調達を実施

「FULL KAITEN」は2017年11月のローンチから、EC・リアル店舗運営の小売事業者から注目を集めているクラウド型の在庫管理サービスだ。契約数も順調に増加している。そして2018年6月、FULL KAITENは体制構築や新機能開発などにより事業をスケールさせる目的で、約1億2000万円の資金調達を実施した。FULL KAITENは在庫管理に悩む小売企業の救世主となるのだろうか。

『FULL KAITEN』が実現する在庫削減と仕入れの最適化

FULL KAITENは独自のアルゴリズムによって、資金繰りを悪化させている不良在庫や機会損失を低減する仕入れ数量を自動分析する。

FULL KAITENでは、在庫状況を1時間おきに自動分析してわかりやすく表示する。全在庫は適正・過剰・不良在庫の3つに分類され、それぞれの在庫数と在庫金額が一覧で表示される。

在庫が大き過ぎないかや、在庫に対し過剰や不良の在庫が大き過ぎないかがひと目で分かるため、たとえば「不良在庫を削減し、その資金を使って新商品を開拓し適正な在庫を増やす」といった対策をタイムリーに打ちやすくなる。また過剰・不良に分類された在庫に関しては、各商品の過去の販売データをもとに推奨のセール価格も自動分析によって表示する。

一方仕入れでは、欠品している商品の中でも粗利貢献度が高く、優先して仕入れるべき商品を「必須」「できれば」に自動分類する。その上で、「必須」「できれば」の合計金額を発注推奨金額として表示する。仕入れの際はこの金額が大きな仕入れ元から順番に対応することによって、粗利貢献度の高い商品の欠品を防ぐことが可能だ。

さらにFULL KAITENでは、商品ごとの販売データから商品ごとのトレンド状況を算出し、在庫リスクが低い数量を計算する。これに加え「必須」「できれば」に分類された商品を中心に発注数を確認し、仕入れ担当者が微調整することによって、それまでの勘に頼った仕入れとは比べ物にならない高い精度の仕入れを実現する。

また「必須」「できれば」の商品欠品により、機会損失額を表示する機能もある。「必須」「できれば」の商品を中心にこまめな仕入れを行うことにより、売上と粗利の増加に貢献することも可能だ。またこまめに仕入れを行う際にも、FULL KAITENを利用すれば仕入れ業務を短い時間で終わらせることができ、担当者の負担を減らすメリットも期待できる。

『FULL KAITEN』は粗利増加にも貢献

粗利の増加には、1件の注文ごとの粗利(粗利単価)を増やすことが必要だ。FULL KAITENでは粗利単価別に何件の注文があったかをグラフ表示するため、グラフでピークとなっている粗利単価帯をチェックし、その右側の粗利単価帯の注文を増加させるといった使い方もできる。

FULL KAITENには、注文を増やしたいと考える粗利単価帯の中でも主力の商品を一覧で表示する機能もある。その中から重点商品を決め販売することによって、狙い撃ちで希望の粗利単価帯の注文を増やすことが可能だ。

さらにFULL KAITENでは、商品が他のどの商品と一緒に購入された時に粗利が増加したかを一覧表示する機能もある。これによって重点商品を決めた上で、メルマガ配信や棚をどのように作るかといった施策に活かせる。ついで買い狙いの販促や広告にどの商品を出すかの決定などに役立て、粗利単価の注文増加を期待できる

「売る」ための店舗はもはや時代遅れ?「在庫を置かない百貨店」に見る購買体験の未来

FULL KAITENのような在庫管理に役立つサービスが登場する一方で、「在庫を一切持たない」という選択肢も注目されている。たとえば米百貨店大手のNordstrom(ノードストローム)は、2017年10月に販売用の在庫を一切おかない試着のみの店舗「Nordstrom Localノードストローム ローカル)」をオープンした。在庫をおかない代わりに同店舗では、プロのスタイリストによる無料のスタイリングや、オンラインで購入した商品の受け取りや返品、洋服のお直しなどのサービスを提供する。

AmazonやZOZOTOWNでの商品購入は今では一般的だが、サイズや素材感がわからない洋服は試着のために実店舗を利用し、気に入ったらオンラインで購入するというユーザーも多い。Nordstrom Localは、こうしたユーザーの行動を逆手にとったかたちだ。

Nordstrom Localでは、商品の購入は全てオンラインへ誘導する。店舗での在庫管理が必要なくなる上、レジなどの設備コスト、人件費を節約できるというメリットがある。このように「店舗で在庫を持つ」という固定概念を覆す形態も今後続々と登場するだろう。

クラウドサービスやオンラインとの連携で在庫管理に革命をもたらす

在庫削減クラウドサービス『FULL KAITEN』によって、小売企業は在庫管理の精度を飛躍的にあげることができる。またオンラインとの連携で、店舗に在庫を持たないという選択肢も登場している。

在庫管理の精度向上は、企業の存続にもつながる大きな問題になりえるが、FULL KAITENのようなクラウドサービスの利用やオンラインとの連携は、企業の在庫管理に革命をもたらすカギとして今後も高い注目を集めるだろう。