政府がクールジャパン戦略を取り上げるなど、日本独自の文化を海外に発信していく動きが高まっている。その中でもアニメ、漫画の分野は世界トップレベルであり、海外に熱狂的なファンを持っている。海賊版サイトによって著作権の問題が取りざたされている現状だが、今後はその心配は無用になるかもしれない。

CFunジャパン株式会社は、改ざん不可能なブロックチェーン技術とスマートコントラクトで著作権を守り、二次元クリエイターの中国進出をサポートするという主旨のもと、マンガやイラスト、小説などの2次元のクリエイターたちの作品と中国、世界中のファンをつなげるプラットフォーム「CFun」のβテスト版を発表した。

情報改ざん不可能なブロックチェーン技術で著作権を守る

「CFun」は、マンガ、イラスト、声優、小説、ゲームなどの二次元コンテンツのアップロードとユーザーとの対話を可能にするプラットフォームだ。これにより、クリエイターたちは国際的に作品を展開することができ、作品の発見や拡散、企業との取引など多くの機会を得ることができる。

一方、海外のユーザーは日本のクリエイターの二次元文化に触れることができる。ファンとクリエイターが、お互いに学び合うことができ、アイディアを交換することで、新しい分野を開拓することが同社の狙いだ。

「CFun」の最大の特徴は、著作権を保護し公正なサポートができるプラットフォームであるということ。情報の改ざんが不可能なブロックチェーン技術とスマートコントラクトを融合させたシステムを駆使して言語の問題や著作権問題をクリアにする。そして、日本の二次元作品のクリエイターや企業の海外進出をサポートする。

2018年5月30日、CFunジャパン株式会社は、中国の著作権問題専門家の陳弁護士を招いて、「海外での著作権」にかかわる講演会を開催した。

ここでは、日本と中国の著作権の違いや著作権が侵害された場合の対応方法について、事例を踏まえて説明。ブロックチェーン技術によって著作権が守られる「CFun」の仕組みについて解説した。

中国では現在、著作権保護に関する法律規制によってIPコンテンツを保護しているという。個人が著作権を保護することは、非常に困難だが、「CFun」では、ブロックチェーン技術によって、作品をネットワークに公開した時点で、誰が、いつ、どの作品を公開したかの記録を残し、それぞれの作品の著作権の所在を明らかにする。

記録の台帳は改ざんが不可能なため、著作権侵害から作品を守ることができるのだ。

さらに、スマートコントラクト技術の融合によって、クリエイターへの仕事の依頼から完了までがスムーズに遂行されるため、クリエイターと企業とのやり取りで生じるストレスを軽減できるという。

また、「CFun」では、作品を読んだり、評価、シェアしたりするなどのユーザーの行動がブロックチェーンに記録され、それぞれの行動価値を評価してトークン化されるという特徴もある。

日本の二次元作品のクリエイターたちは、「CFun」に登録することで、自分の作品が中国語等に翻訳され、アプリやPCで読めるようになったり、有料掲載が可能になったりする。

また、中国のファンから反応やコメントが届き、企業から直接、作品創作の依頼を受けることができるなど、クリエイターとしての可能性を拡げられる仕組みを同社では目指しているという。

「CFun」は、日本、中国、シンガポール、韓国にも拠点があり、言語も日・中・韓・英に対応。対応言語は、今後も随時増やしていく予定だ。

今後は、マンガやアニメ、声優や歌、イラスト、シナリオ、小説、ゲームなどの二次元のあらゆるジャンルを網羅し、ファン同士をつなげるプラットフォームとして、バージョンアップさせていくという。

クリエイターの著作権を守るブロックチェーン技術

ブロックチェーン技術で著作権を守ろうという試みは他にもある。たとえば、イーストマン・コダックの著作権管理プラットフォーム『KODAKOne』と仮想通貨『KODAKCoin』がある。これは、写真家の権利を守ろうというものだ。

KODAKOneでは写真家が自身の作品をサービス上にアップロードすると、正式な権利者として登録され、プラットフォーム上で権利の管理、運用ができるのだ。

そして、他者にライセンスを付与する際には、KODAKOne上で利用できる独自通貨KODAKCoinを活用する。写真家は販売直後にライセンス料をKODAKCoinの形で受け取れるようになるという仕組みだ。

また、サンフランシスコ発の『Binded(旧Blockai)』は、クリエイターが作品の著作権を管理できるプラットフォームである。これは、Instagramに投稿するような感覚で画像を登録すれば、固有の証明書が発行され、その証明書を通じて正当な権利を主張できるというものだ。これも、ブロックチェーン技術を使ったものである。

ユーザー、クリエイターともに大きなメリットが

インターネットの進化とともに、著作権問題はかつてないほど大きなものとして、我々ネットユーザーやクリエイターにのしかかってきている。

今後、インターネットの進化により、クリエイターたちは、著作権に対する管理や認識がまだ行き届いていない国のユーザーとの取引も据えてくるだろう。このような場合、自分の権利は自分で守らなくてはならいないのだ。

今回の「CFun」は、著作権側だけではなく、ユーザー側にとっても大きなメリットをもたらしてくれるに違いない。

img:PR TIMES,KODAK