Amazonや楽天に代表されるEコマースが生活の一部になり、経済産業省の調査によると日本のEC市場は平成28年時点で15兆円を超える巨大な市場に成長している。

しかし、その成長の裏側では配送量の増加や不在配達の問題などがあり、そのしわ寄せが配送業者にきているという実態もある。

この問題を解決しようと、AI使った発送代行サービスがスタートした。スタークス株式会社は、物流業界全体の課題解決を目指す新しい発送代行サービス「クラウドロジ」を提供開始した。

AIで需要予測を行い在庫を複数の倉庫に分散させる

ネット通販の拡大に伴い、荷物を運ぶドライバー不足が深刻化している。また、ドライバーの長時間労働による負担や事故のリスクも含めて、社会問題となっている。さらに、ドライバー不足による配送の遅れも問題になっており、企業活動や個人の生活にも影響が出始めている。

これを受け、同社は2015年より通販企業の商品の管理・伝票発行・梱包作業など、発送業務を一括で代行する「リピロジ」を、化粧品や健康食品、食品など単品リピート通販企業を中心に450社以上に提供してきた。

この「リピロジ」が、AIによる需要予測データの蓄積により、全国に14拠点ある提携倉庫に在庫を分散させ、最適な拠点から配送することが可能となり、物流倉庫そのものをクラウド化するプラットフォーム「クラウドロジ」として、新たにサービス提供することとなった。

事前に需要を予測し、倉庫の拠点を分散させることによって、配送コストを抑えたり、長距離ドライバーの負荷を軽減したり、正確なシフト管理を組むことができるクラウド型の物流プラットフォームサービスだ。

少ない人員でも効率的に配送することが可能に

具体的なメリットとしては、AIによる需要予測に基づき、全国に拠点を分散させた倉庫に荷物を在庫させる。そこから荷物を出荷することによって長距離輸送を減らすことができ、少ない人員でも効率的に配送することが可能になる。

また、倉庫の拠点分散により輸送距離が短くなり、近いエリアへの地帯別配送料金に設定することができる。運送距離が短くなるため、配送エリアによって10〜20%ほど配送費を抑えることが可能になる。

さらに、大きな段ボールではなくポストインサイズの梱包を推奨することで、購入者の不在時にも荷物をポストに投函することができ、再配達の削減を可能にする。

Amazonが注力する物流プロセス全体の強化

今回のクラウドロジの他にも配送の問題解決を図ろうとしている取り組みはある。Amazonが展開している宅配ボックス設置サービス「Hub」は、Amazonにリクエストを出すと、集合住宅ではおなじみの宅配ボックスを「無料」で「希望した場所」に設置してくれるというものだ。

Hubで設置される宅配ボックスは、Amazonの荷物以外を受け取る際にも利用できる上、設置場所は不動産や施設のオーナーが希望できる。申し込みは米国内で不動産や施設オーナーから受け付けている。

また、Amazonは物流プロセス全体の強化にも注力している。Amazonの取扱量が増えれば増えるほど、物流にかかる労働力やコストといった負荷は大きくなっていくからだ。

空路では大量輸送に対応する輸送用飛行機「Prime One」を配備しているほか、各宅へのドローンによる宅配「Amazon Prime Air」も世界各地で実証実験を重ねている。

陸路では、自社トラックの配備から宅配の一部を自社社員で担うように米国内ではなってきている。2015年には「Amazon Flex」という、一般人が宅配を代行するシェアリングサービスもリリース。自前での宅配網構築を空路陸路双方で進めている。

AIが物流業界に与えるインパクトとは?

近年、AIやテクノロジーの進化がめざましい。今回のクラウドロジは、AIを駆使して物流を効率化しようというもの。そのメリットは大きく分けて、配送負担の軽減、配送コストの最適化、再配達率の低下の3つである。

これらが、物流業界に大きなインパクトを与えることは、想像に難くない。AIの進化は物流をも変えようとしている。

img: PR TIMES , Amazon