あなたには、輝かしい未来が待っているから。
故郷を離れて、見たことのないものをたくさん見ておいで。
今まで経験したことのないことを、たくさん経験しておいで。

楽しいこと、嬉しいこと、苦しいこと、悲しいこと、
この世の中にはたくさんあるけれど、
ふるさとはいつでもそばにいるからね。
たまには思い出してね。

そして・・・

たまには帰ってきて、
あなたの目で見たこと、感じたことを、たくさん教えてね。
そんな思いがこの1冊から聞こえてくるようです。


こちらは、福井県大野市の成人式で成人の皆さんに配られたもの。
大野市民たちの思いがいっぱい、言葉と写真に込められています。

まるで詩を読んでいるような、あたたかい気持ちになれる言葉たち。
四季に寄り添い生きる、大野での暮らしが思い起こされます。

帰っておいで

その一言が言いたくても、言えない親はこの世の中にたくさんいます。
親にとっての幸せは、子どもが幸せに暮らしてくれること。
それとは裏腹に、そばにいてほしい、故郷に戻ってきてほしい。
そんな思いと葛藤しているのではないでしょうか。

 

小さな町の大きな課題

出典:大野へかえろう

福井県大野市は、人口3.3万人の小さな盆地。
大きな課題の一つが人口減少で、特に若年層の流出は大きな課題となっています。

帰ってきてくれると嬉しいけど、無理強いはしないよ。
でも、恋しくなった時は、いつでも戻ってきておいで。
あなたの人生の中に大野がいること、選択肢の一つとして忘れないでね。

そんな思いを込めて、大野市はこれまでにユニークなUターン施策に取り組んでいます。

 

大野ポスター展

出典:大野へかえろう

地元の高校生たちに、大野のお店のポスターを製作してもらい、総選挙をしました。こちらはただのポスター展ではありません。高校生たちが自らの目と心で地元の魅力を発見し、面白い大人たちと繋がり、自分たちの手で町を元気にする喜びを味わってほしいとの狙いがあります。

あなたの町ってこんなにいいんだよ、と言われてもなかなか響きません。
でも、自らの目と心で感じたことは、高校生たちに確固たる地元への思いを植え付けるでしょう。

大野へかえろう|大野ポスター展

 

卒業式プロジェクト

こちらは高校の卒業式に父母から生徒たちへ送られた歌。
「帰っておいで」言いたくても言えない思いを、詞とメロディーに乗せて伝えます。

大野へかえろう|楽曲「大野へかえろう」

旅立つ子どもたちが自分の目と心で地元の魅力を認識し、
本当の気持ちを言いたくても言えない親たちが、声と心で子どもたちに訴えかける。

思いやりに溢れた町、大野。

そんな、大野を愛する大人たちから成人した子どもたちへの贈り物として、作られたのがこのアルバムなのです。

大野へかえろう|写真集

サクラ、田んぼ、祭り、水あそび、稲刈り、雪かき、
通った小学校、自転車で駆け抜けたあぜ道、おばあちゃんの手、お父さんの背中・・・
春夏秋冬と移り行く、大野での暮らしを彷彿させるストーリー仕立てのアルバム。

 

他にも、季節になぞらえた言葉とともに、その季節にあった大野の郷土料理のレシピが載っていたり、

大野で活躍する大人たちも紹介されています。

こちらは、大野大人図鑑としてウェブにも多くの大野で働く魅力溢れる大人たちが紹介されています。

大野へかえろう|大野大人図鑑

 

写真とコピーは、大野の大人たちが頭を悩ませて絞り出したもの。ただの写真の描写じゃない、写真から思い出される感情を、言葉に表しました。
豪華な装丁とコンパクトなサイズ感、いつでもそばに置いて置けるようにとの思いがこめられています。


この大野へかえろうプロジェクトの担当者である市役所の雨山直人さんは、自分自身も大野を離れた大人のひとり。「Uターン施策は、くどく言いすぎたらかっこ悪いし、見せ方のバランスが難しいと思っています。自分自身も歳を経るにつれて、大野での知り合いが増えて、魅力的な大人が多い事に気づきました。助け合う風土があって、やりたいことを応援してくれる環境があるからこそ、外で学んだことを大野に持って帰ってきて、活躍してほしいです」と語ります。

仕掛け人である電通の日下慶太さんは、「水はきれい、自然と食べ物は豊か、街に出ようと思えばすぐ出れる。自分たちで文化を作り出している人たちもいる。大野には都会と遜色のない、むしろ都会よりも充実した生活を送っている人がいました。大野、かっこいいんですよ。大学もないから、出て行くなとはいえないけど、地元のすんごい魅力を知ってから人生の選択をしてほしいなと思ってます」と語ります。

特にコピーは大野人でないと表現できないものばかり。真っ白な雪原の写真では、実際に“しーん”という音がしたり(想像できないかもしれませんが、実際に“しーん”という音がするそうです!)、


冬は雪のせいでなかなか外で遊べないからこそ、校庭で野球ができるのが嬉しかったり・・・。


そんな“大野あるある”が詰まった、大野人でなければ思いつかない言葉がたっぷりのアルバムとなっています。

 

2017年1月8日に行われた成人式

そんな大野の大人の思いが込められたアルバムが、先日新成人たちに手渡されました。
参加した新成人は、314名。県内外から懐かしい顔ぶれが揃い、晴れやかな表情の新成人たち。

アルバムをもらった感想は・・・


「うわっ!めっちゃ懐かしい〜」と懐かしむ新成人たち。
マラソンで長距離を走ってきつかった思い出、雪が降り積もると田んぼの上をショートカットして近道をした思い出・・・様々な記憶が蘇ってきます。

※雪が降り積もった田んぼの上を歩くことを「おそら」といいます。


「里芋みるとおばあちゃん思い出すんだよね」
「言葉と写真から、匂いを感じるな」
「(食卓の写真を見て)高校まではこういうのが当たり前だったけど、大学生になると外食が多くなって、 家に帰って食べるとホッとします。」


「県外に出たからこそ大野の魅力に気づけると思うので、県外に出た人は大野の魅力を県外の人にいっぱい発信して、大野の魅力を伝えてほしい、そして大野に人がいっぱいきてほしい!これ(本)を持って帰って、大野こういうとこだよって紹介してほしい!」


「絶対、(下宿先の)大阪に持って帰ります!」
「友達は都会でこういう景色を知らない子が多いので、見せてあげたいなぁ。」


「住み慣れた町で暮らすのが良いかな、田舎だけど生まれたところだから愛着あるし。」
「県外で暮らす気満々で外に出たけど、最近大野で働いてる人の話を聞く機会が多くて、自分のできることを見つけて、自分の学んでいることを(大野で)生かすのもいいかなって思い始めてます。」

大野からの思いがけないプレゼントに成人たちも目を輝かせていました。

▲大野愛に溢れる新成人たち

 

地元を離れてできた新しい友だちに「僕の故郷ってこんなところなんだよ」と、大野の良さを紹介したり、ちょっと辛くなった時、地元を思い出して、広げて見てほしい。

このアルバムには、大野の大人たちの思いがたくさん詰まっています。

これをきっかけに帰ってきてくれたら嬉しいけれど、いつでも大野がそばにあるような、大野を感じられるようなアルバムであってほしい。

何気ない大野の風景を眺めていると、守るべきものが見えてくるような気がします。

控えめであたたかい、そんな大野の魅力が詰まったプレゼントです。
ダイレクトには言えない思い、きっと、成人の皆さんにも伝わったことでしょう。

 

大野へかえろう